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令和元年5月17日に、国土交通省、土地・建設産業局建設市場整備課より、
高力ボルトの全国的な不足状況への対応策として、発注様式の統一等の対策
及びアンケート結果の報告がなされた。

昨年頃から発生している、鉄骨の接続等に使用される高力ボルトの需給のひっ
迫により、国土交通省アンケート対象の約86%(平成31年3月時点)の工事が
工期に影響を及ぼしていることが分かった(平成30年度10月時点では83%)。
供給側は発注に対して約56%程度しか供給できておらず、継続取引のもの、
取引数量、納入時期、納入先が確認できるものを優先的に対応している状況
にある。

しかし、国土交通省の試算では、鉄骨需要がここ数年、年間520万t程度から
微増傾向にあり、概ね鉄骨需要の約2~2.5%が高力ボルトの需要であるという
過去データからの推定によると、年間11~13.9万t程度であり、高力ボルトメ
ーカーの生産量合計の年間12~13万tという推定生産能力からすると、需要量
と供給能力に大きな乖離は見られないと判断している。

この状況から需給ひっぱくの原因は、市場が混乱し、需要側による自衛手段と
して、受注が未確定段階での先行発注、水増し発注や多方面への重複発注により、
実需以上にボルトメーカーに注文が殺到している可能性が高いと国土交通省は
見ている。

これらの対応策として、国土交通省はボルトメーカに対する「標準的な発注様
式」を作成することにより、当該様式での適時的確な注文を促進し、「見積依
頼(仮発注含む)」、「正式発注」の別、発注元の明確化により取引情報の精
度を担保する。また発注情報を物件名(工事名)毎に記載することで使用する
タイミングが明確になり、供給側は、実需に基づく生産が可能になることを期
待している。