宅地建物取引業法の一部改正によって中古物件の売買における建物状況調査(インスペクション)の活用が2018年4月1日より施工される。具体的には不動産の仲介業者は売主または買主に対し、建物状況調査(インスペクション)をおこなう技術者をあっせんできるかどうかを告知し、依頼に応じて業者の手配、実施した場合の結果の開示等が義務付けられることになる。建物状況調査(インスペクション)を行うことによって建物の品質や見えない構造に対する消費者の不安解消や引き渡し後のトラブル等の回避になり、中古市場の活性化につながることが期待されている。
最近空き家の再利用やリノベーションについて大いに議論が重ねられているが、住宅販売の中で中古住宅の占める割合が他の先進国と比較するととても低い日本では、現在800万個以上の中古物件が市場に余っている。今回の宅建業法改正によるインスペクション活用の流れは本格的な人口減少・少子高齢化を迎える中、政府が中古住宅の流通の拡大により経済を活性化させることを施策として動こうとしている結果といえるだろう。しかし行う業者の整備やインスペクションそのものの社会への浸透などこれからまだ検討が必要だろう。
(出典:国土交通省「宅地建物取引業法の一部を改正する法律案 概要」より転載)