令和5年度税制改正大綱にマンション長寿命化促進税制(固定資産税に係る特例措置)の創設
令和5年度の税制改正要望について、国土交通省は、予算概算要求に符号する形で「豊かな暮らしの実現」「経済好循環の加速・拡大」「安全・安心」を要望の3本柱としています。
その内、要望の柱の一つである「豊かな暮らしの実現と地域の活性化」として、マンション長寿命化促進税制(固定資産税に係る特例措置)の創設が盛り込まれました。
具体的には、近年、高度経済成長期に建設された高経年のマンションについて、高齢化や工事費の急激な上昇により、長寿命化工事に必要な積立金が不足しているケースも多く、大規模修繕が適切に行われていないケースが問題になっています。
今後、長寿命化工事が適切に行われなければ、外壁剥落や廃墟化を招き、周囲への大きな悪影響や除却の行政代執行にともなう多額の行政負担が生じることが懸念されています。
そのため、必要な積立金の確保や適切な長寿命化工事の実施に向けた管理組合の合意形成を後押しすることを目的とした、令和5年度税制改正大綱に「長寿命化に資する大規模修繕工事を行ったマンションに対する特例措置」(マンション長寿命化促進税制)の創設が盛り込まれました。
この特例措置で、国土交通省は管理組合に対して、必要な修繕積立金を確保し、長寿命化に資する大規模修繕工事を適切な時期に実施するよう促すことで、外部不経済を発生させる管理不全マンションの発生防止を期待しています。
【税制改正の概要】
○ 管理計画の認定を受けたマンション等において、長寿命化工事が実施された場合に、その翌年度に課される建物部分の固定資産税額が減額されます。
○ 減額割合は、1/6~1/2の範囲内(参酌基準:1/3)で市町村の条例で定めることとなります。
【対象マンション】
○ 築後20年以上が経過している10戸以上のマンションであること
○ 長寿命化工事を過去に1回以上適切に実施していること
○ 長寿命化工事の実施に必要な積立金を確保していること
【対象工事】
○ 令和5年4月1日から令和7年3月31日までの間に完了した長寿命化工事