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アメリカにおける不動産の権利形態

アメリカにおける不動産の権利形態

アメリカの不動産はその権利形態によって自由保有不動産(Freehold estates)と賃貸借不動産(Leasehold estates)の2種類に大きく分けられます。自由保有不動産はさらに権利の強さによって①絶対的単純不動産権(Fee simple absolute)、②消滅条件付き単純不動産権(Fee simple defeasible)、③生涯不動産権(Life estate)等に分類されます。

①絶対的単純不動産権(Fee simple absolute)
これらのうち最も権利が強い絶対的単純不動産権は土地の一区画を所有できる最大の権利のことで、この所有権は、基本的に前の所有者や前の所有者の相続人に奪われることはありません。また、不動産を所有する期間に制限はなく相続人に引き継ぐこともできます。ただし課税、土地収用、警察権、不動産復帰(相続人がいない場合に州に没収されること)の4つの基本的な政府の権限によって制限され、また、特定の抵当権や証書の条件によっても制限されます。しかし、前記の制限を除けば自由に処分・使用ができ、不動産の所有方法としては最も一般的なもので、日本の通常の所有権(完全所有権)に近い権利概念と思われます。

②消滅条件付き単純不動産権(Fee simple defeasible)
①の絶対的単純不動産権に条件が付いたものになります。譲受人がこの所有権の条件に違反した場合、不動産は譲渡人または特定の第三者に返還される可能性があります。条件違反があった場合に自動的に譲渡人に返還されるFee simple determinableや、条件違反があった場合に自動的に譲渡人に返還されるのではなく、譲渡人に不動産を引き取る権利を得るFee simple subject to condition subsequent等があります。

③生涯不動産権(Life estate)
生涯所有権は不動産を贈与された所有権者(終身不動産権者)が、贈与者の生存期間のみ不動産を所有または使用できる権利です。終身不動産権者は遺言によって不動産を誰かに残すことはできません。

上記の分類は一般的なものであり、各州の州法により取扱いが異なることがあります。