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不動産鑑定・コンサルティング・情報分析 ハイビックス株式会社
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「適正な時価」と固定資産評価

固定資産税における評価については3年に1回の見直しが行われる。直近では、平成30年基準に向け見直された評価額が平成30年1月1日時点の固定資産評価に反映されるところとなる。固定資産評価は標準宅地に対し不動産鑑定士が評価を担う役割となるが、本稿では来たるべき基準年度に向け求める価格の性格について考察する。
地方税法において、固定資産税にて求める価格は「適正な時価」であるとする(地方税法341条5号)。この「適正な時価」について争われた事案として最高裁平成15年6月26日判決があるが、判例を含め「適正な時価」と固定資産評価との関係は以下の通り考えられている。

①適正な時価
地価公示価格と同一の価格を志向するものする正常な条件の下で成立する客観的な交換価値
②算定基準日の価格
賦課期日(1月1日)の価格(課税台帳登録価格)。この登録価格は地価公示価格等の7割を目処とする。
③登録価格における違法性
客観的時価を下回る場合:法が予定する「適正な時価」であるとされる。
客観的時価を上回る場合:客観的時価を限度に超えた部分についての登録価格は違法。
④固定資産評価基準・取扱要領との関連
基準等による業務手続きとして合理性はある。但し適正な時価ではない。

以上が「適正な時価」と固定資産評価との関連におけるポイントとして整理することができる。評価を担う不動産鑑定士は、各市町村自治体の関係部署ご担当者様と十分なコミュニケーションを取りながら上記のポイントを踏まえ評価業務に当たっておきたいものと思料する。